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東京地方裁判所 平成5年(ワ)3686号 判決

原告

森山義成

被告

堤良和

主文

一  被告は、原告に対し、金一〇九四万四〇一六円及びこれに対する平成二年六月二六日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

二  原告のその余の請求を棄却する。

三  訴訟費用は、これを二分し、その一を原告の、その余を被告の各負担とする。

四  この判決は、原告勝訴の部分に限り、仮に執行することができる。

事実及び理由

第一原告の請求

一  被告は、原告に対し、金二五六四万三五〇二円及びこれに対する平成二年六月二六日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

二  訴訟費用の被告の負担及び仮執行宣言

第二事案の概要

一  本件は、市街地における信号により交通整理の行われていない交差点において普通乗用車と軽四輪貨物自動車の衝突があり、普通乗用車の運転者が傷害を受けたことから、軽四輪貨物自動車の運転者を相手にその人損について賠償を求めた事案である。

二  争いのない事実

1  本件交通事故の発生

事故の日時 平成二年六月二六日午前四時一五分ころ

事故の場所 東京都江戸川区東小岩五丁目三四番三号先の交差点(以下「本件交差点」という。)

加害者 被告(加害車両運転)

加害車両 軽四輪貨物自動車(足立四〇ね一三八九)

被害者 原告(被害車両運転)

被害車両 普通乗用自動車(足立三三せ六三一六)

事故の態様 加害車両が一時停止することなく本件交差点に進入したことから、同車両前部正面を被害車両の左扉部分に衝突した。

2  責任原因

被告は、加害車両を運転して、一時停止することなく本件交差点に進入した。また、加害車両の保有者でもある。

3  損害の填補(一部)

原告は、自賠責保険から二一七万円、任意保険から七五一万五五七八円の填補を受け、また、岩井整形外科内科病院の治療費三九八万五八三五円は右任意保険から支払いがされ、合計一三六七万一四一三円の填補を受けた。

三  本件の争点

1  損害額

(原告の主張)

原告は、本件事故により右膝内側側副靱帯断裂、頸椎捻挫等の傷害を受け、岩井整形外科内科病院で治療を受けたが、一二級一二号の後遺障害が残り、このため、次の損害を受けたと主張する。

(1) 治療関係費

〈1〉 治療費(岩井整形外科内科病院に平成三年三月一二日から同月四月五日まで及び同年九月二六日から同月三〇日まで入院。同病院に平成二年六月二六日から平成三年一二月三一日まで通院) 三九八万五八三五円

〈2〉 入院雑費(一日当たり一二〇〇円。三〇日分) 三万六〇〇〇円

〈3〉 交通費 七万一八三〇円

(2) 休業損害

原告は、太陽自動車株式会社(以下「太陽自動車」という。)のタクシー運転手をする傍ら、非鉄金属の自営業を営んでいたところ、前記の通院期間五五四日間いずれも休業し、その損害は次のとおりである。

〈1〉 タクシー運転手としての休業損害

平成元年度の給与五三五万四三九四円を基礎に算定すると、八一二万六九四三円となる。

〈2〉 非鉄金属業の休業損害

平成元年度の収入四五万七二七九円を基礎に算定すると、六九万四〇六一円となる。

(3) 逸失利益

原告は、本件事故のため、右膝関節に一二級の後遺障害を残したが、同関節障害のためアクセルを踏み込む動作や重量のある物の運搬に支障を来たし、前記いずれの職種についても、労働能力が五〇パーセント喪失した。また、原告の症状固定時の年齢は五九歳であるから就労可能年数は、六七歳までの八年間である。

〈1〉 タクシー運転手としての逸失利益

前記平成元年度の給与を基礎にライプニツツ方式により算定すると、一七六四万〇〇五一円となる。

〈2〉 非鉄金属業の逸失利益

前記平成元年度の収入を基礎にライプニツツ方式により算定すると、一五〇万六五〇五円となる。

(4) 慰謝料 四三〇万〇〇〇〇円

入通院(傷害)慰謝料として一九〇万円、右後遺症の慰謝料として二四〇万円が相当である。

(5) 物損

〈1〉 被害車両の損害(全損による時価相当額) 三一万円

〈2〉 レツカー移動料 一四万三六九〇円

(6) 弁護士費用 二五〇万円

(被告の主張)

これに対し、被告は、原告の後遺障害の程度では自動車の運転に支障はなく、太陽自動車からの退職勧告は同社が欠勤を続ける原告の社会保険料の負担を嫌がつての経営上の都合によるものであつて本件事故と退職との間に相当因果関係はなく、逸失利益算定に当たつては、原告の学歴・年齢に見合つた平均賃金を基礎とし、労働能力喪失率は一二級相当の一四パーセントとすべきであること、平成五年八月からは原告は同社で車庫係の勤務を始めたから逸失利益は生じないこと、及び、自営業についても本件事故後のほうが収益が上がつていて休業損害及び逸失利益は否定すべきであること、後遺症慰謝料は一五〇万円が相当であることを主張する。

2  過失相殺

被告は、原告が本件交差点に進入するに当たり、減速・徐行と左方道路の安全確認をいずれも怠つたのであり、右各義務違反も本件事故の原因となつているとして、三割、少なくとも二割の過失相殺を主張する。

原告は、被告が被害車両の存在に気づくことなく速度を出し過ぎたまま加害車両を進行させたことが本件事故の原因であるとして、右主張を争う。

第三争点に対する判断

一  原告の損害額について

1  治療費関係 四〇八万五九六五円

甲二ないし四、八、一九ないし二一、調査嘱託の結果、原告本人によれば、次の事実が認められる。

(1) 原告は、本件事故により右膝内側側副靱帯断裂、右膝内側半月板損傷、頸椎捻挫等の傷害を受け、岩井整形外科内科病院で治療を受けた。事故当日から平成三年三月までは通院、同月一二日から四月五日まで入院して半月板切除の手術を受け、その後の通院を経て、同年九月二六日から同月三〇日まで入院による再手術を受け、さらにその後も通院するという治療の内容であり、同年一二月二日に症状が固定したが、その後も右膝痛に対するリハビリテーシヨン、湿布、内服薬の処方等のため、同病院に平成四年六月ころまで通院した。本件事故当日から平成三年一二月末日までの五五四日間に、三〇日間入院し、また、ギブス固定期間を治療日数として算定すると三九四日間の実治療を受けたこととなる。

(2) 症状固定後の原告の身体の状況は、〈1〉右膝関節に可動制限はないものの、正座や胡座は疼痛のため、短時間しかできない、〈2〉右膝内側側副靱帯部及び内側関節間隔に圧痛があり、長時間立つていたり、物を持つて歩くと膝内側に圧痛がある、〈3〉頸部前屈時に左頸附根部に疼痛や圧痛があり、また、左拇指、示指の末節にしびれ、知覚麻痺があるというものである。原告は、平成三年一二月一六日に東京都から五級の身体障害者手帳の交付を、また、平成四年四月二七日に自算会から一二級一二号の後遺障害がある旨の認定を、それぞれ受けている。

右認定に反する証拠はない。以下において、右認定事実を前提に治療費関係の損害を検討する。

(1) 治療費

甲八、一六によれば、前示平成二年六月二六日から平成三年一二月三一日までの岩井整形外科内科病院の入通院のため、三九八万五八三五円を要したことが認められる。

(2) 入院雑費

前示岩井整形外科内科病院における入院の雑費として、一日当たり一二〇〇円として三〇日間に合計三万六〇〇〇円を要したものと認める。

(3) 交通費

甲一六によれば、原告は、前示平成二年六月二六日から平成三年一二月三一日までの岩井整形外科内科病院の通院のため、交通費として六万四一三〇円を要したことが認められる。

2  休業損害 八三二万九六八六円

甲五の1、2、六、一〇の1ないし4、一一の1ないし3、一二、一七ないし一九、原告本人によれば、次の事実が認められる。

(1) 原告は、本件事故前は、太陽自動車というタクシー会社に運転手として雇用される傍ら、自営業として非鉄金属の販売も行つていた。タクシー運転手として少なくとも年間五三五万四三九四円の収入を得ていたが、原告は、本件事故後太陽自動車を欠勤し、平成二年九月二七日から休職期間に入つた。そして、会社側からの社会保険料の負担が大きいとの強い要求により、原告は、平成三年六月一日付けで同社を退職した。本件事故のあつた平成二年六月二六日から症状が固定した平成三年一二月二日までの五二五日間は、同社からは六万五九〇〇円の給料を除き、給料の支払いを受けなかつた。

(2) 非鉄金属業は、トラツクで鉄工所等からスクラツプを回収し、自宅で選別して、そのまま転売したりプレス加工を加えたりするもので、平成元年度は四五万七二七九円の収益を上げていたが、八〇万円の専従者控除をすると三四万二七二一円の赤字となつていた。本件事故のあつた平成二年度は、買い付け先の工場等でスクラツプの積荷の手助けをしてもらう等の協力を得た結果、同額の専従者控除をしてもなお二七万九二三四円の収益を上げることができた。しかし平成三年四月ころからはそのような手助けがなくなり、原告の子どもの協力を得て、同業を継続したが、平成三年度は、専従者控除をしなくても四一万六七〇七円の赤字となり、現在では廃業寸前の状況にある。スクラツプの買い付け等では、袋に六〇ないし八〇キログラムのスクラツプを詰めてトラツクに積み込む作業を要するが、本件事故後は原告が一人で同作業をするのは相当困難である。

(3) 原告は、非鉄金属業のためにトラツクを運転するが、前示の膝の後遺障害のため、アクセルを踏み続けることができず、長時間の運転が困難であり、また、四八時間を一単位として長時間にわたり運転を継続すべきタクシー運転手としての職業に就くことは不可能である。なお、原告は、現在、太陽自動車で車庫の管理の仕事を行い、月給二二、三万円の給与を得ている。

右認定に反する証拠はない。

以下において、右認定事実に基づき、症状固定時までの休業損害を検討すると、次のとおりである。

(1) タクシー運転手としての休業損害

平成元年度の給与五三五万四三九四円を基礎に休業損害を算定すると、七六三万五六二五円となる。

計算 535万4394÷365×525-6万5900=763万5625

被告は、原告が太陽自動車を退職した後の休業損害及び逸失利益は、賃金センサスによる収入を算定基礎とすべきであると主張するが、前示のとおり太陽自動車が原告に対し退職勧告をした動機が経済的な理由であるにせよ、原告の右膝の傷害及びこれによる後遺障害の程度は前示のとおりであり、客の生命を預かり、安全に目的地に運搬すべき義務を負うタクシー会社とすれば、本件事故及びこれによる半月板切除の結果、原告をタクシーの運転手として雇用することを躊躇するのは当然であり、また、原告本人によれば、本件事故がなければ原告はタクシー運転手としての職業を継続して行う意思を有していたと認められるから、右被告の主張は理由がない。

(2) 非鉄金属業の休業損害

本件全証拠によつても昭和六三年度以前の非鉄金属業の収益が明らかでないことから、平成元年度の収支を基準に休業損害を検討すると、前認定の事実によれは、平成二年度は、本件事故にかかわらず平成元年度よりも収益を上げているから、休業損害は認められない。しかし、平成三年度は、原告が手術をした年でもあり、専従者控除前の収益を平成元年度と比較すると次の計算どおり八七万三八八六円も落ち込んでおり、固定経費が手術期間中や通院により休業する間も要することを斟酌すると、少なくとも原告主張の六九万四〇六一円は、原告が本件事故により現実に被つたということができ、原告主張の非鉄金属業の休業損害はすべて理由がある。

計算 45万7279-(-41万6707)=87万3986

3  逸失利益 八八二万〇〇二五円

(1) タクシー運転手としての逸失利益

原告は、本件事故のため、右膝関節に一二級の後遺障害を残したが、同関節障害のためアクセルを踏み込む動作に支障を来たし、長時間の運転ができず、また、重量のある物の運搬に重大な支障を来たしている。このため、タクシー運転手としての業務遂行は不可能となつたが、甲一五、一九、原告本人によれば、本件事故がなければ、六四歳までは太陽自動車の正勤の乗務員として、六五歳からは嘱託の乗務員として正勤の乗務員と同一の給与のベースで、それぞれタクシーの運転手の業務を継続することができたことが認められる。そして、現在は太陽自動車で車庫の管理の仕事を行い、月給二二、三万円の賃金を得るに止まること、原告がタクシー運転手としての業務を継続するとしても、歩合給の率が高い右業務の賃金体系に照らせば、加齢とともに収入が減ることが予想されることを斟酌すると、平成元年度の給与を基礎とすれば本件事故により労働能力が二五パーセント喪失したものと認めるのが相当である。また、原告の症状固定時の年齢は五九歳であるところ、右事情に鑑みれば、就労可能年数を六七歳までの八年間とし、ライプニツツ方式により中間利息を控除するのが適当であり、右逸失利益は八八二万〇〇二五円となる。

計算 535万4394×0.25×6.589=882万0025

(2) 非鉄金属業の逸失利益

前認定のとおり、非鉄金属業では、収益の基礎とすべき平成元年度でも専従者控除をすると三四万二七二一円の赤字となつており、逸失利益の基礎とすべき利益が不明であつて、右労働能力喪失によりどの程度の利益を逸失したかを認定することができないので、非鉄金属業による逸失利益は独立の損害としては認めずに、慰謝料算定に当たつての斟酌事由として考慮することとする。

4  慰謝料 四五五万円

前示の入通院の日数、治療の経過に鑑みれば、入通院(傷害)慰謝料としては一七五万円が相当である。また、前示後遺障害の部位、程度、内容、及び後遺障害のため非鉄金属業の就労を十分にすることができないことに対する精神的苦痛を斟酌すると、後遺症慰謝料としては二八〇万円が相当である。

5  物損 四五万三六九〇円

(1) 被害車両の損害

甲八、一三の5によれば、被害車両は本件事故により経済的に全損したこと、本件事故当時の被害車両の時価相当額は三一万円であつたことが認められる。

(2) レツカー移動料

甲七の1、2によれば、原告は、被害車両のレツカー移動のため、株式会社下沢自動車に一四万三六九〇円を支払つたことが認められる。

6  以上の合計は、二六二三万九三六六円である。

三  過失相殺について

1  甲一、一三の1ないし10、13、20、一九、乙一、原、被告各本人(各一部)に前示争いのない事実を総合すれば、次の事実が認められる。

(1) 本件交差点は、市街地にある、一里塚方面から柴又街道方面に向かう幅員約五メートルの道路と蔵前橋通り方面から千葉街道方面に向かう幅員約五メートルの道路との信号機による交通整理の行われていない交差点であり、一里塚方面から柴又街道方面に向かう道路は、速度が時速三〇キロメートルに制限され、また、同道路の本件交差点の手前には一時停止の標識が立てられている。蔵前橋通り方面から千葉街道方面に向かう道路は、本件交差点から先は左に四五度程度進行方向が曲がつており、また、速度が時速二〇キロメートルに制限されている。本件交差点の角にはいずれも民家やブロツク塀が存在し、かつ、本件事故当時はカーブミラーの設置がなく、いずれの側からも交差道路の状況が交差点進入前には見えない。なお、本件事故前に小雨が降つたため、路面は濡れていた。

(2) 被告は、加害車両(車重六九〇キログラム)を一里塚方面から柴又街道方面に向かつて時速約三〇キロメートルで進行し、本件交差点にさしかかつたが、考え事をしながら、かつ、朝の配達のために急いでいたことから、一時停止の標識をあることを知りながら、これを無視して、そのままの速度で本件交差点に進入した。そして、同進入後に右側道路から走行してきた被害車両を発見して急制動をしたが、加害車両の前部正面が被害車両の左側中央の扉部に衝突した。

(3) 原告は、被害車両(プリンス・グロリア。約一八〇〇キログラム)を蔵前橋通り方面から千葉街道方面に向かつて時速約三〇キロメートルで進行し、本件交差点にさしかかつたが、その手前でブレーキを踏んで時速約一五キロメートル程度まで減速し、本件交差点に進入した。同進入後、加速しながら本件交差点を抜けようとしたときに、加害車両に衝突され、後ろタイヤをバーストした上で、約四分の一回転をして民家の門柱に衝突して停止した。

以上の事実が認められる。被告は、本人尋問において、被害車両も結構速度が出ていたと供述するが、前示のとおり、被害車両が進行した道路は、本件交差点から先は左に四五度程度進行方向が曲がつており、減速しないで本件交差点に進入することは考え難く、同供述は採用しない。また、被告は、加害車両を一〇キロメートル程度まで減速させたと供述するが、〈1〉警察における取調べでは、前認定のとおり、一時停止の標識をあることを知りながら、朝の配達のために急いでいたため、本件交差点進入時(甲一三の6の別紙現場見取図〈1〉の地点)で時速約三〇キロメートルの速度であつたと供述し(甲一三の8)、〈2〉被害車両の後輪が衝突によりバーストし、かつ、その車体が約四分の一回転をしたことに、加害車両が被害車両の二・五倍以上の重量があることを参酌すると、加害車両がかなりの速度を出していたことが推認されることから、同供述も採用しない。他方、原告は、本人尋問において、本件交差点に進入した際に、左側道路を見たところ加害車両が本件交差点の約二〇メートル手前(前示現場見取図の「至一里塚」の「塚」の字の左側)で走行するのを発見したが、通行が可能と判断して加速したと供述するが、警察における取調べでは、交差点の手前で左方を見たが何も見えなかつたと供述し、また、同人作成にかかる陳述書(甲一九)でも、交差点に進入した時点で左右に何も見えなかつたと陳述しており、右供述は採用し難い。そして、このような供述の変遷及び前示本件事故の態様からすると、原告が本件交差点進入に当たり、左側道路の確認を怠つたものと推認される。

2  右認定事実によれば、被告は、一時停止の標識があるのに、これを無視して何らの減速をすることもなく、本件交差点に進入したのであつて、このことが本件事故の大きな原因となつていることは明らかである。他方、原告も、見通しの効かない交差点に進入するに当たり、減速をしたものの、左側道路の確認を怠つたのであつて、このことも本件事故の原因となつているものと認められる。以上の被告の過失と原告の過失の双方を対比して勘案すると、本件事故で原告の被つた損害については、その一割を過失相殺によつて減ずるのが相当である。

3  右過失相殺後の原告の損害額は、二三六一万五四二九円となる。

四  損害の填補

原告は、自賠責保険等から、岩井整形外科内科病院の治療費を含め、合計一三六七万一四一三円の填補を受けたことは当事者に争いがないから、右填補後の原告の損害額は、九九四万四〇一六円となる。

五  弁護士費用

本件の事案の内容、審理経過及び認容額等の諸事情に鑑み、原告の本件訴訟追行に要した弁護士費用は、金一〇〇万円をもつて相当と認める。

第四結論

以上の次第であるから、原告の本件請求は、被告に対し、金一〇九四万四〇一六円及びこれに対する本件事故の日である平成二年六月二六日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払いを求める限度で理由があるが、その余の請求は理由がないから棄却すべきである。

(裁判官 南敏文)

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